討論

子供医療費を無料化する自治体が増えるなか、国は「ペナルティー」を科しているが…

「サービスただではない」 小野崎耕平氏

 --子供の医療費負担を軽減する自治体に、国がペナルティーを科していることを、どう考えるか

 「無料化で医療費がどの程度膨張し、どう減算するかは検証の余地がある。だが、そもそも、医療サービスを無料にするのは禁じ手。絶対にすべきではない。子供医療費の無料化が選挙公約の目玉になっており、自治体のサービス合戦に使われている現状は極めて安易だ。かつて、老人医療費が無料化されていた時代がある。1割負担に戻すのに30年かかり、日本の医療政策の最大の失敗といわれている。行政サービスは無料(ただ)ではない。誰かがどこかで負担している。その意識を持つためにも一定の負担は必要だ。例えば日本の水道代は極めて安いが、負担をすることで大事に使おうという意識が生まれる。打ち出の小づちはない。無料にすることで他の何かの行政サービスをあきらめていることを認識すべきだ」

 --少子化対策に有効だといわれる

 「社会保障給付は高齢者に偏っており、子供に振り向けるべきだという発想は分かる。しかし、『医療費無料化が少子化に役立つ』というのは論理の飛躍だ。少子化の原因は未婚化や晩婚化、雇用や教育費の問題もある。地方の首長や議会が、こうした課題との比較検討をし、無料化を決めたようには見えない。『無料化したことで子供の数が増えた』という自治体もあるようだが、自治体間の人口移動に過ぎない。国全体で見ると、あまり意味がない」

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