暮らしの注意報

マンション管理組合を税務署が「申告漏れ」で狙い撃ち 携帯基地局、自販機、太陽光発電の収入は課税対象だった…

修繕費の足しに

 一方、税務署もこれまで、基地局設置の管理組合に対して税金を払うように積極的に指摘してきたわけではない。税金に関する無料相談サイト「税とお金の相談室」を運営する高橋創税理士事務所(東京都新宿区)の高橋創代表は「基地局設置が増えたのはこの10年ぐらいだが、税務署の指摘が増えたのは数年前から。それまで指摘がなかったのは、税務署が見落としていた可能性もあるが、税務署自身も課税する根拠に自信が持てなかったのではないか」と推測する。

 それが、国税庁が25年、「基地局設置による収入は、法人税法の収益事業にあたり、課税対象となる」とする判断を示した。高橋代表は「この判断がきっかけで、申告漏れを指摘される管理組合が一気に増えた印象がある」。

 同様に課税を指摘されるケースが増えているのが、駐車場の外部への貸し出しによる収入だ。小野山公認会計士・税理士事務所(大阪市中央区)の小野山匠海代表は「居住者の高齢化で車を手放す人が増え、駐車場に空きが出るようになった。管理組合も老朽化した建物の修繕費の足しなどにしようと収益事業に注目し始めている」と指摘する。

5年分の加算税も

 収益事業は、法人税法で規定されている34種類の事業に該当するもので、継続して事業場を設けて営まれるものが対象となる。マンションの管理組合の場合、企業の広告看板の設置▽自動販売機の収入▽太陽光発電による売電▽住民以外への駐車場や会議室・宿泊施設の貸し出し-などがある=表参照。

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