風邪やインフルエンザの予防などで広く使われるうがい薬「イソジン」をめぐり、国内で製造販売を担ってきた明治と、開発元でブランドを保有する米製薬会社ムンディファーマが訴訟合戦を繰り広げている。両社はイソジンについて約55年前から提携関係にあり、3月末で契約満了を迎えるが、互いに4月から発売予定の新商品が消費者に混同・誤認させ不正競争防止法に違反するとして、東京地裁に不正競争行為等差止の仮処分を申し立てる異例の展開となっている。法廷闘争の行方によっては、商品の一時的な販売停止も考えられ、消費者への影響も避けられない様相を呈している。
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「『カバくん』によってうがい文化の普及に時間とコストを費やしてきた。その信用力にただ乗りすることは看過できない」。明治の担当者はこう話す。
明治がムンディファーマを訴えるきっかけは、ムンディが日本国内の販売元を塩野義製薬に変更して発売する新しい「イソジン」のパッケージキャラクターだ。薬局向けの資料として配布されているパンフレットに掲載されているパッケージにはうがいをする動物のキャラクターが印字されている。これが明治が商標権を保有する「カバくん」に極めて類似していると明治は主張する。