【三鷹ストーカー殺人差し戻し審】リベンジポルノめぐり異例の経過、遺族は苦渋 - 産経ニュース

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三鷹ストーカー殺人差し戻し審

リベンジポルノめぐり異例の経過、遺族は苦渋

池永チャールストーマス被告=2013年10月(鈴木健児撮影)
池永チャールストーマス被告=2013年10月(鈴木健児撮影)

 高裁から注文のついたリベンジポルノを検察側が追起訴し、差し戻し後の公判で新たな争点にするという異例の経過をたどった今回の裁判。被害者の名誉のため当初は立件に消極的だった遺族が、「リベンジポルノが判決に考慮されないのではないか」と危惧を抱き、差し戻し審での実質的な審理を求めるという苦渋の選択をした。

 問題の始まりは差し戻し前の検察側立証の失敗だ。起訴していないにもかかわらず、実質的にはリベンジポルノの処罰を求めるよう強調する主張を行った。結果として、差し戻しを言い渡した昨年の高裁判決は、「量刑への影響を検討していないばかりか、適切な証拠調べを検討した形跡もない」として、裁判員を誤導したと判断し、検察側の主張や裁判官の訴訟指揮を批判した。差し戻し審判決でも、リベンジポルノについて「当初より訴追が可能だった」と指摘しており、改めて検察の手法を批判したかたちだ。

 あるベテラン裁判官は、差し戻し前について「裁判官や弁護人が方向修正する機会はいくらでもあったはずだ」とみる。その上で、「検察側が初めからリベンジポルノを立件していれば、このような事態にはなっていない」と振り返る。別の裁判官は捜査当局に「心情に寄り添いつつ、適切な判決を得るために重要なことが何かを、遺族に説明する必要がある場合もある」と注文を付ける。

 検察側や裁判官は今回の経緯を踏まえた上で、被害者に配慮しつつも裁判員が適切な判断を導き出すための適切な訴訟進行を検討する必要がある。

 ある検察幹部は判決後、差し戻し前後で判決が同じだったことに「懲役22年を繰り返して、遺族が翻弄されている。申し訳ない気持ちだ」と話した。