原発事故から5年

東電は何度信用を失えば気が済むのか? 今ごろ事故マニュアルが出てきて「見過ごしていた」はないだろ…

炉心溶融の定義を明記した東京電力のマニュアルのコピー
炉心溶融の定義を明記した東京電力のマニュアルのコピー

 なぜこの時期にこんな大事なことが明らかになったのか。東京電力福島第1原発事故から5年。事故を「最悪」にさせたのは、燃料が溶け落ちる「炉心溶融(メルトダウン)」だが、東電は事故当初に「損傷」と言い続け、事故を過小評価してきた。実は社内マニュアルに従えば早期に「溶融」と判断できたのに、5年間も「マニュアルを見過ごしていた」と釈明した。東電は一体、何度信頼を失ってきたのだろうか。(原子力取材班)

「何のために作ったんだ?」

 「じゃあ、マニュアルは何のために作ったんだ? 事故前から事故につながるような東電の体質が表れていたのでは。深刻に反省してもらう必要がある」

 原子力規制委員会の田中俊一委員長は3月2日の定例会見で東電を厳しく批判した。

 東電のマニュアル問題は、国会にまで波及する。参議院予算委員会は3日、東電の広瀬直己社長を参考人として呼んだ。

 広瀬社長は「マニュアルは、業務を遂行する人間は当然知っていなければならなかった」と頭を下げた。その上で「隠蔽するということではなかったと考えている。しっかり調べて再発防止をやっていきたい」と述べ、事実の解明は第三者を交えた調査委員会に委ねるという。

 発端は2月24日、東電側から担当記者に「福島第1原発事故当時の通報・報告状況についてレク(記者会見)をしたい」と連絡があったことだ。

 この「通報・報告」という伝達方法には問題がある。取材班もはじめ、今頃原発事故の通報について何を説明したいのか分からなかった。

 ところが担当記者に説明に訪れた東電の白井功・原子力・立地本部長代理は「社内のマニュアルに、炉心溶融の判断基準があった」とおもむろに話し出した。一転して、「大ニュース」となり、各社の記者の動きがにわかに慌ただしくなった。

「官邸になぜ知らせないんだ!」と怒鳴り声

 時計の針を5年前に戻してみよう。なぜ東電は炉心「溶融」ではなく「損傷」と言い続けたのか。

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