「各都道府県の人口を一定の数値で除し、それぞれの商の整数に小数点以下を切り上げて得られた数の合計数が小選挙区選挙の定数と一致する方式…」
衆院議長の諮問機関「衆院選挙制度に関する調査会」の答申に記述された「アダムズ方式」の解説だが、一読して理解できる人がどれくらいいるだろうか。私は何度読み返しても意味が分からず、選挙制度に詳しい人に解説を求め、辛うじて理解した気にはなった。
一票の格差をなくすことを目指すとすれば、都道府県の議席配分は人口比例にすることが望ましい。しかし、単純な人口比例では、計算で生じる小数点以下の扱いによって都道府県間に不公平が生じる。そこで、約200年前、似たような事情を抱えていた米国で、第6代大統領のアダムズ氏が考案したのが「アダムズ方式」と呼ばれる特殊な計算式だ。
例えば、総議員定数を5とし、人口65万人と35万人の2県に割り振る場合、2県の人口を仮に「20万」で割ると、商はそれぞれ3・25と1・75となり、小数点を切り上げると4と2になる。しかし、これでは定数5を上回ってしまう。そこで、割る数を調整していくと、「22万」で割れば人口65万人の県は2・95で、35万人の県は1・59となり、小数点を切り上げれば3と2。つまり、総定数5を2県に3議席、2議席と振り分ければよいことになる。人口比をより正確に反映できる議席配分方法とされる。