国際情勢分析

「暴動に屈した」インド・ハリヤナ州政府に批判の声 日系含む企業襲撃で投資環境も悪化し…

インド北部ハリヤナ州ロータックにあるマルチ・スズキの車庫で、暴徒による襲撃を証言する責任者のビニート・ベニワンさん(中央)ら=2月27日(岩田智雄撮影)
インド北部ハリヤナ州ロータックにあるマルチ・スズキの車庫で、暴徒による襲撃を証言する責任者のビニート・ベニワンさん(中央)ら=2月27日(岩田智雄撮影)

 インドの首都ニューデリーに隣接する北部ハリヤナ州で起きたカースト集団による暴動で、州政府は、この集団の要求である大学への入学や公的機関での雇用で一定の優先枠を持つ「その他後進諸階級(OBC)」への組み入れを受け入れることを決めた。多くの日系企業や自動車販売店を巻き込み甚大な被害を与えた凶行で、州政府が暴力に屈したことへの疑問の声が上がっている。

「優先枠」階級入り承認

 暴動を起こしたのは「ジャート」と呼ばれる農民を中心とするカースト集団。2月15日から各地で州政府へのデモを始め、間もなく暴動に発展した。各地で19日頃から出された外出禁止令は、最も被害が大きかったロータックで、24日にようやく全面解除されたものの、周辺地域では、ジャートへの報復の暴力が起き、部分的な発令が続いた。各地で暴力が相次ぎ、警察の発砲などにより、住民約30人が死亡している。

 州政府の与党は国政のモディ政権与党と同じインド人民党(BJP)。ハリヤナ州では、デリー首都圏に水を供給するための取水施設が暴徒に壊され、首都が水不足になったことなどから、ラジナット・シン内相(64)がジャート指導者と面会。その後、州政府がジャートの要求に応じると発表した。

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