その他の写真を見る (1/3枚)
髪に宿るパパのぬくもり
宮城県塩釜市・高橋心陽(こはる)ちゃん(6)
死者、行方不明者合わせて1万8千人を超えた東日本大震災は、発生から11日で5年となる。歳月は流れ、変わるものと変わらぬものが交錯する被災地。人々は胸にさまざまな思いを宿し、復興に向けて歩みを進める。
◇
「幼稚園で一番長いんだ」。お尻まで伸ばした髪をなびかせ、ほほ笑んだ。
宮城県塩釜市の高橋心陽(こはる)ちゃん(6)は、これまで一度も後ろ髪を切ったことがない。東日本大震災が起きたのは1歳の時。津波のことも、消防団員として避難を呼びかけながら亡くなった父、昌照(まさてる)さん=当時(37)=のことも、ほとんど覚えていない。
仙台市の自宅にあった家族写真は津波で流された。「パパがなでた髪かもしれないと思うと、切れないんです」。母の陽香(はるか)さん(42)にとって、心陽ちゃんの髪は夫のぬくもりを残す大切な思い出だ。