南京虫が増殖しているのは、日本だけではない。実は米国や欧州、豪州などでも世界的な広がりをみせている。
米ニューヨーク市の集計では、2004年に537件だった南京虫に関する相談件数が、09年に1万件を突破した。この期間は、中国の名目GDPが04年の世界6位から09、10年の2位にまで飛躍した時期と一致している。
米国では、宿泊先で南京虫の被害に遭ったとする訴訟が多発しており、ついには全米南京虫サミットが開催されるなど深刻な社会問題に。米国内の空港では、南京虫専門の探知犬が登場するまでになっている。南京虫からメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が見つかったとするカナダの科学者らの報告もある。
「被害に遭った」と宿泊先を訴えるケースも
こうした南京虫の大増殖に警戒感を強めているのが、日本のホテルや旅館などの宿泊業界だ。
ある旅館では、南京虫の被害に遭った宿泊客から「仕事に支障をきたした」などとして、損害賠償を請求する訴訟を起こされたケースも報告されている。
在阪の宿泊業者は「とにかく専門業者による定期的な対策が欠かせない」と神経をとがらせる。そんななか、ホテルなどの宿泊施設を対象にした南京虫の早期発見・対処プログラムの構築サービスを行う専門業者も出現している。