またも驚くべき司法の判断である。これでは日本のエネルギー・環境政策が崩壊してしまう。
関西電力高浜原子力発電所3、4号機(福井県)に対し、滋賀県の住民が求めていた運転差し止めの仮処分を大津地裁が認めた。
高浜3、4号機は福島事故を踏まえて策定された新規制基準に合格して今年、再稼働を果たしたばかりである。
にもかかわらず、運転を差し止めるということは新規制基準と原子力規制委員会の審査を真っ向から否定したことに他ならない。
仮処分は即効力を持ち、関電は運転を停止する。司法判断での稼働中の原発停止は前例がない。
関電は「到底承服できない」として、速やかに不服申し立ての手続きを行う。一日も早く取り消される必要があろう。
決定の影響は甚大だ。4月からの電力小売り自由化を目前に、関電の供給計画は全面見直しを余儀なくされ、予定された電気料金の値下げも困難になる。近畿圏での企業活動や生活にマイナスの影響が出るのは避けられない。
原発の安全性をめぐっては、平成4年の最高裁判決で、その適否について、科学的、専門的な知見に基づく行政の合理的判断に委ねるとしている。