震災5年

復旧・復興の現在地(5) 船橋の三番瀬海浜公園再整備

 ■災害対策に重点の自然学習施設も

 夏にはプールで遊ぶ家族連れの笑い声であふれた「ふなばし三番瀬海浜公園」(船橋市潮見町)にも、東日本大震災は大きな爪痕を残した。液状化現象で噴出した土砂で、園内は泥だらけに。屋外プールは設備に不具合が発生し、多くの市民に惜しまれながら営業を終了した。

 市は、プールは再設置しないものの、新たに自然学習施設を設置するとした再整備方針を決定。昨年末に工事が始まり、新施設については来夏の営業開始を目指して再生の一歩を踏み出している。

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 市政策企画課によると、同公園は昭和57年、屋外プールや潮干狩りが楽しめる人工海浜を備えたレクリエーション施設として開園。平成4年には温水プール棟が完成し、震災前の22年度には公園全体で約30万人、プールの利用客だけでも約11万6千人が訪れた。

 だが、震災により、23年度は公園全体を閉園。24年度に再開したが、プールがなくなったことで来園者は約4分の1の約7万4千人にまで落ち込んだ。

 再整備に当たってはプールの復活も検討されたが、液状化対策で出費がかさんだことなどで断念。レジャープールの機能は、来年7月にリニューアルオープン予定の市運動公園(夏見台)に引き継ぐことになった。

 三番瀬海浜公園では、海に親しめる立地を生かし、自然体験と環境学習の場として活用する計画が震災前から進められていた。このため、再整備では同計画の内容が取り込まれることになった。

 リニューアルの対象は敷地全体の約4割に当たる計約3万6千平方メートル。旧温水プール棟は「環境学習館」に変わり、三番瀬の仕組みや生き物などを体験型の展示物で学んだり、市の海産物などの食を通じた体験プログラムを実施したりできる施設に生まれ変わる。ジオラマや観察コーナーも設け、小中学生の課外授業の場としての活用も視野に入れている。

 屋外プール跡地は、噴水のある広場やイベントスペースとなり、高さ約8メートルまで上れる展望デッキを設置。市民のにぎわいと憩いの場として再スタートを図りたい考えだ。

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 災害対策にも重点が置かれている。液状化に備え、環境学習館の入り口付近などに砂利を埋め込んだ穴を開け、地震の際に水圧上昇を抑えるようにした。また、津波対策として、環境学習館を一時避難施設とする他、広場や海岸で遊ぶ市民が迅速に館内に避難できるよう、屋外階段を新設する。

 「孫のプールデビューはここだった。震災前はよく遊びに来ていたので、とても思い出深い。なくなったのは残念」。同公園に散歩に来ていた市内の男性(70)はこう惜しみながらも、「子供と楽しめる施設になるなら、また孫と遊びに来てみたい」と期待を込めた。(中辻健太郎)

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