東京電力福島第1原発事故から5年となるのを前に、住民の健康への影響を継続調査してきた英インペリアルカレッジ・ロンドン教授で、分子病理学の世界的権威であるジェリー・トーマス氏が9日、都内の駐日英国大使館で記者会見、放射線による健康への影響はほとんどないとする結論を公表した。
教授は5年間の調査結果として、福島の子供たちの被曝(ひばく)量はフランスのコルシカ島の子供たちのそれよりも低いとして、子供への健康に影響が及ぶリスクは非常に低いと言明。「問題は心理的なものにある」と強調した。
そのうえで、問題を克服するには「科学的に正しいデータをもとにした議論を通じ、長い時間がかかっても人々の信頼を取り戻すことしかない」と指摘し、科学者とメディアが協力して社会に働きかけていくことが今後は欠かせないとの考えを示した。(内藤泰朗)