浪速風

聖火のないオリンピックなんて

三島由紀夫は「東洋と西洋を結ぶ火」と呼んだ。「青空を背に、ほのおはぐらりと揺れて立ち上がった。地球を半周した旅をおわったその火の、聖火台からこぼれんばかりなさかんな勢いは、御座に就いた赤ら顔の神のようだ」。1964年の東京五輪、開会式のクライマックスは聖火の点火だった。

▶オリンピックが他のどんなイベントとも異なるのは、古代オリンピアの遺跡で採火される聖火があるからだ。最近は奇抜な仕掛けの点火方法が多いが、坂井義則さんが階段を駆け上がる姿が目に焼きついている。では2020年、新国立競技場に入ってきた聖火ランナーはどこに点火するのだろう。

▶聖火台を忘れていたのだという。真っ先に設計図に描くべきだと思うが、関係機関のいずれも「誰かが考えている」と押しつけあっていたようだ。お粗末極まりない。トラブル続きにまた難題が加わった。あと4年しかないのに。レガシー(遺産)どころか汚点だらけである。