科学〜歴史地震研究

江戸の庶民は「鯰絵」で震災を乗り越えた

江戸末期の庶民の地震に対する意識がうかがえる「鯰絵」=さいたま市大宮区の埼玉県立歴史と民俗の博物館(草下健夫撮影)
江戸末期の庶民の地震に対する意識がうかがえる「鯰絵」=さいたま市大宮区の埼玉県立歴史と民俗の博物館(草下健夫撮影)

 昔の日本人は震災をどのように受け止めていたのか。江戸時代末期に描かれた「鯰絵(なまずえ)」から、その一端がうかがえる。ナマズが地震を起こすとの考えから作られた刷り物で、安政江戸地震(1855年)で多くの庶民に親しまれた。

 ナマズは地震直後は被害の元凶として登場し、懲らしめられる。しかし、復興のため大工など職人の仕事が増えると、富をもたらす存在として、ときにはユーモラスに描かれるようになる。

 埼玉県立歴史と民俗の博物館は、単独施設で最多の155種類を所蔵する。加藤光男学芸主幹は「当時の人々も、ナマズが地震を起こすという説を真に受けてはいなかった。しかし、そう捉えることで沈んだ気持ちを晴らし、災いを精神的に乗り越えようとしていた」と話す。

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