ただ、そうした現実の背景に韓国の厳しい就職戦線があることも見逃せない。あまりに極端な学歴社会のため、就職活動も熾烈(しれつ)だ。せっかく猛勉強して一流大学に入っても、思うような職に就けないという若者がわんさかいるのである。
必然的に青年無職者(NEET、ニート)も増えてしまう。韓国紙、中央日報(電子版)は、OECDの調査を引用して韓国のニートの学業能力は2位だと報じた。1位は日本だった。OECDによれば加盟国全体で見るとニートは3900万人に達し、日本と韓国のニートは読解力・数的思考力が「低い水準」に該当する者がそれぞれ3%、5%で、最も少なかったという。
学業能力が高いにもかかわらず、進学や就職、職業訓練をしない、あるいはできない若者が多いという現実。学習意欲を失い、やる気も削(そ)いでしまうことだろう。韓国で自殺者が多いのもうなずける。
低質な大学の増加がもたらす弊害
朝鮮日報は、韓国人の学業能力ランクが年齢を重ねるごとに沈んでいくのは、小中高校での暗記中心の詰め込み教育による学習意欲の低下と、国際的水準に満たない低質な大学の増加が背景にあるという識者の分析を紹介している。
特に1990年代後半以降、韓国で大学が急増したものの、質的な成長を遂げられなかったことを指摘する声が大きいという。韓国開発研究院国際政策大学院の李周浩教授は「上位レベルの大学よりも、相対的に質の低い下位レベルの大学への進学が増え、大学が社会に必要な人材を育てられなかった」と説明する。優秀な若者が入学しても、きちんとした教育を受けられないのである。