東京電力福島第1原発事故から5年がたつのに、いまだ福島を苦しめる事象がある。それは「風評被害」だ。特に外国からの風評が根強い。2月に韓国のソウルで予定していた東日本大震災からの復興イベントが「原発事故で放射能に汚染された食べ物を食べさせるのか」という市民団体の不当な主張により、開催当日に急遽中止になったのは象徴的だった。福島では徹底的な検査で、基準値を超える放射性物質に汚染された物は出回らない。汚染されていると主張するなら根拠を出すべきだろう。そうした「科学」を軽視する韓国の姿勢に怒りが渦巻いている。(原子力取材班)
当たり前の暮らしを奪われた
「福島や東北地域のPRができる絶好の機会だと考えていたので残念だ」
福島県の内堀雅雄知事は2月に東京の日本記者クラブで記者会見しこう述べた。さらに「当たり前の暮らしを奪われている。5回目の正月も自分の家ではない。この現状をぜひ知ってほしい」と、いまだ約10万人の避難者がいる福島が抱える苦悩を訴えた。
ソウルでは同月20、21日に日本の外務省の主催で、福島だけでなく青森県、宮城県、鹿児島県が参加した復興イベントを予定していた。外務省によると、イベントは「Explore REAL JAPAN」と題し、福島県の民芸品「おきあがりこぼし」の絵付け体験やゆるキャラによるステージパフォーマンスなどを開催する予定だった。その中に福島県の菓子や日本酒などを紹介するブースに韓国側が噛み付いたのだ。