鑑賞眼

劇団銅鑼「池袋モンパルナス」 戦時下の若き芸術家の群像熱く

“池袋モンパルナス”に集った若き芸術家たちを描く (成毛章浩撮影)
“池袋モンパルナス”に集った若き芸術家たちを描く (成毛章浩撮影)

大正末から終戦期にかけて、画家や詩人、音楽家が集うアトリエ村が存在した東京・池袋。池袋モンパルナスと呼ばれたその界隈(かいわい)で、貧しくとも抑え切れない表現欲を抱えて生きた若き芸術家の群像劇だ。宇佐見承の同名原作を小関直人が脚本化し、平成9年に初演した。今回は脚本を改訂し、新たに野崎美子の演出。

物語は、日本のシュールレアリスム的絵画を代表する靉光(あいみつ)(山形敏之)を中心に展開。仲間と切磋琢磨(せっさたくま)しながら自分の線や画風を模索し続けてきた表現者たちが、戦争画への協力を求められ、何を描くかという命題を突きつけられる。当局に協力する者もあれば、靉光のように描きたいものだけを描く、という生き方しかできない者もいる。彼らの煩悶(はんもん)は観客にも同じ問いを投げかけ、痛切だ。

若い俳優らのエネルギーを結集させ、前半は生き急ぐように創作と向き合った青春群像とし、後半の影を浮かび上がらせる。画家の命である「線」を象徴するように、幾筋もの黒テープが舞台を走り、場面ごとに角度を変え、さまざまな表情を見せる美術(佐藤朋有子)も面白い。ドラムの生演奏が画家たちの鼓動のように響くのも効果的だ。

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