静岡県、障害者就労支援へ独自目標設定 工賃伸び率年5%、授産品ブランド化

 ■「モデルケース作っていきたい」

 一般企業で働けない障害者が地域で自立した生活を送るのに欠かせないのが、障害者の就労を支援する就労継続支援B型事業所で支払われる工賃だ。国は目標工賃額を月額3万円としているが、工賃上昇のペースは鈍く、本県でも平均工賃額は目標の半分以下に留まっている。しかし、障害者の工賃向上を図る取り組みは民間にも広がりつつあり、県は新たに対前年比5%の目標工賃伸び率を設定。授産品のブランド化を進めることで、全体の工賃底上げを図りたい考えだ。

 先月26日、静岡市葵区の静清信用金庫本店食堂など2カ所に、授産品を扱う「お菓子ボックス」が設置された。ボックスでは、市内のB型事業所「ほほえみ工房きらら」で作られたクッキーやパウンドケーキなどを、100~150円で販売。週に1度商品の補充と代金の回収を行う予定で、同事業所を運営するNPO法人「ウイング・ハート」の西村千恵さんは「授産品の販路はイベントなどが中心。常設で販売できるのはありがたい」と話す。

 障害者の工賃向上をめぐっては、平成19年に国の指針で月額3万円が目標に設定された。障害者が家族に頼らず、地域のグループホームで自立した生活を送ることを前提にしており、障害基礎年金に工賃を上積みすることで、月10万円程度の収入になる計算だ。県でも22年に「障害者働く幸せ創出センター」を開設し、授産事業への支援を一元化する一方、静岡市と沼津市に授産品販売施設「とも」を整備して販売の促進につなげている。

 しかし、県内の平均工賃実績は月額1万4363円(26年度)と、目標額の半分以下に留まっているのが現状だ。過去5年間は連続で平均工賃が上昇しているものの、伸び率は0・7~4・9%と波がある。そこで県では工賃の高低にかかわらず、全ての事業所で工賃の引き上げを実現することを狙って、27年度から目標工賃額とは別に、毎年5%の工賃伸び率を県独自の目標として設定した。

 さらに工賃アップを可能とする環境を作り出すため、県では28年度から授産品のブランド化に乗り出す。計画では、県内のB型事業所から10商品程度を公募し、民間バイヤーやデザイナーにマーケティング戦略を委託。ブランド化に成功した同一の授産品を複数の事業所で計画的に生産することで、市場競争力を高めていく戦略を描く。県障害者政策課就労支援班の植田祥宏班長は今後の取り組みについて「授産品のブランド化には高い商品のクオリティーも求められるが、まずはモデルケースを作っていきたい」と話している。

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【用語解説】就労継続支援B型事業所

 一般企業での就労が困難な障害者を対象に、働く場を提供するとともに、知識や能力向上に必要な訓練を行う事業所。雇用契約を結び最低賃金以上の給与が支払われるA型事業所とは異なり、B型事業所の利用者には作業に応じた工賃が支払われる。県内では平成26年度末現在、約260カ所で5500人ほどの障害者が利用しており、平均工賃は月額1万4363円に留まっている。

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