大腸菌などが消滅する技術を活用した「タッチパネル用抗菌シート」が、京急川崎駅と羽田空港国際線ターミナル駅の自動券売機に試験導入された。富士通が持つ特許技術を使い、末吉ネームプレート製作所登戸工場(川崎市多摩区)が製品化したもので、川崎市が「川崎モデル」として推進する知的財産交流事業の成果として注目を集めている。 (那須慎一)
今回、末吉ネームプレート製作所が製品化した「タッチパネル抗菌シート」は、富士通が保有する「チタンアパタイト」という光触媒の特許技術を利用。市は両社の間を取り持つことで、知的財産の有効利用と製品化を後押しした。
市は、特許のライセンス契約成立後も、試作品の開発や抗菌試験など商品化に向けて支援。新製品を「川崎ものづくりブランド」に認定し、販売促進もサポートしている。
今回の試験運用では、京急川崎駅の券売機2台、羽田空港国際線ターミナル駅の6台のタッチパネルにそれぞれ抗菌シートを貼った。券売機には「抗菌シート使用」を告げる表示をし、利用者が抗菌シート採用の券売機を選択するかどうかなどについて、6月末ごろまで検証する。問題がなければ京急の全駅に採用してもらう計画だ。
川崎市の伊藤和良経済労働局長は「(今回の)試験導入が契機となり、鉄道業界からの関心が高まるとともに、世界への玄関口である羽田空港国際線ターミナル駅にも導入されることで、世界へと(製品が)広がっていくことを期待している」とした。