通常、業務上過失事件の捜査では、具体的な予見性や因果関係、責任の所在などについて厳格に判断される。公判では、原発事業者に課せられる注意義務の範囲などが大きな争点となろう。
「致死傷」の対象者が、原発事故時に作業中だった自衛官や東電関係者であり、避難中に衰弱死した入院患者らであることにも違和感はある。
強制起訴制度は、司法制度改革に伴い平成21年5月、検察官が独占する起訴権限に民意を反映させるため導入された。
同時期に施行された裁判員法には制度導入後3年経過時に運用状況を検証する規定があったが、検審法に同様の規定はない。
過去に強制起訴された事例は8件あるが、有罪は2件だけだ。兵庫県明石市の歩道橋事故やJR西日本の脱線事故などで幹部や経営陣の刑事責任を問う過失事件では無罪や免訴が相次いでいる。検審の判断に応報的な側面が強すぎた結果とすれば、残念だ。