話の肖像画

元プロボクサー・ガッツ石松(2)覚悟を決めた一杯のラーメン 東京に行っていっぱしの男に

 〈栃木県鹿沼市の片田舎に生まれて、母親は日雇いの仕事に出るなど生活は苦しかった。貧乏ゆえの悪さもし、腕っぷしが強いため、小さい頃はけんか三昧の日々だった〉

 4歳ぐらいになったら物心もつきはじめ、周りと自分を比較するようになります。近所の子供と遊ぶと、自分と相手の格差を肌で感じるようになるんです。駄菓子屋でみんなお菓子を買いますが、買えないから指をなめる。父ちゃんや母ちゃんに小遣いくれといってもくれません。あげたくてもないわけですから…。

 俺は食べたい。となると、周りが持っているからよこせと取る。畑や田んぼを歩いていたらさつまいもや柿がなっている。食べたいけど、うちにないから黙ってもらう。そうすると悪ガキといわれます。ただ、持っている人から頂戴することはあっても、よそのうちの中のものは盗んだことはありません。洋服の中をさぐるのは泥棒でしょう。

 けんかは生きるための延長でした。弱い者いじめはしたことがない。中学校に入ったときが一番けんかをして、中学2年になったら、面と向かってくるやつはいませんでした。でも、一番の悪ガキになると、同じことをやっても下はとがめられない。手下が俺にやらされたと警察に言ったことで、俺だけが連れて行かれました。