安倍晋三首相は1日、三重県で5月26、27両日に開催される伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)を見据え、国内外の経済専門家らと世界経済を議論する新たな会議「国際金融経済分析会合」を設置すると表明した。3月中旬に初会合を開く。サミットで議長を務める首相がG7首脳による世界経済の議論をリードする狙いがある。
首相は1日、国会内で記者団に対し、中国経済の減速や原油価格の低下などを踏まえ「新たな局面に入った世界経済の動向を注視していかなければならない」と強調。サミット議長国として、「G7のリーダーたちと、この状況にどのような協調ができるか議論して明確なメッセージを発出し、世界経済の持続的な力強い成長に貢献したい」と述べた。
分析会合は首相や麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉(すがよしひで)官房長官、石原伸晃経済再生担当相、日銀の黒田東彦総裁らで構成する。ノーベル経済学賞受賞者ら海外の著名な経済学者や国際機関の研究者などを招き、新興国経済や原油安の見通しなど経済情勢を分析し、対応策を検討する。
2月27日まで中国・上海で開かれていた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、市場の安定に向け政策を総動員する必要性で一致しており、分析会合でも新たな財政出動の是非が議論される可能性がある。また、来年4月に予定する消費税率10%への引き上げの判断にも影響を与えそうだ。