法外な要求に、プーチンは「武力の増強が目的なら応じることはできない」とすげなく拒否したと伝えられる。視察した戦闘機工場では、自らSu(スホイ)-27の操縦席に乗り込むはしゃぎぶりだったというが、その後の潜水艦基地などの訪問をキャンセルして24日に手ぶらで帰国した。
頼みの綱だったプーチンからもはしごを外された正日は、帰国後すぐに日朝首脳会談の予定を早めるよう指示したという。11月ごろと想定されていた小泉訪朝は2カ月繰り上げられたとされる。
長期間、膠着(こうちゃく)状態が続いた国交正常化交渉にケリをつけ、日本から多額の経済援助を引き出すことを狙ったともいわれるが、何よりブッシュが構築する対北包囲網を突き崩すには、日本とのトップ会談に懸けるほかない状況にあった。
安倍「金正日は追い詰められていた」
9月17日の初の日朝首脳会談では、以下のやり取りがあったと伝えられる。
「朝日関係を正常化する上で解決すべき基本問題は、過去の清算。日本側の真剣な対応を望む」
金正日はこう話を進め、日本人拉致については「一部の盲動分子がやったことだ」と前置きし、これまでの正日の態度からは考えがたい言葉を口にする。