浪速風

京都に文化庁はぴったりだが

「『のぞみはもうありません』と面と向かって言われ、私は絶句した。ところがその人が言った。『のぞみはありませんが、光はあります』。なんとすばらしい言葉だと私は感激した」。新幹線のことだが、この人が語ると哲学的に聞こえる。心理学者で文化庁長官を務めた河合隼雄さん(故人)である。

▶関西と東京の行き来を余儀なくされたからだろうか、いやそんな理由ではなかろうが、長官時代に要望した文化庁の京都移転が実現する見通しになった。関西には国宝の5割、重要文化財の4割が集まり、格段に歴史と文化の厚みがある。これほど文化庁にふさわしい場所はない。

▶安倍政権が掲げる地方創生の一環である。すべての役所が東京にある必要はない。一極集中はいびつで、中央省庁の分散・移転が進めば地方も活性化する。確かにそうだが、大阪には「われ、官を恃(たの)まず」の伝統がある。官より民のパワーを引き出す方が「のぞみがある」と言えないか。