日中次官級協議

日本が東・南シナ海情勢で「強い懸念」伝達

 日中両国の外務次官級協議が29日、外務省で開かれ、杉山晋輔外務審議官は中国の孔鉉佑外務次官補に対し、東シナ海と南シナ海情勢をめぐる現状について「強い懸念」を表明した。日中関係については、両国関係をさらに発展させていくべきだとの認識を共有した上で、外相相互訪問や日中ハイレベル経済対話などの実現に向けて、意見交換するとともに日程調整を進めていくことで一致した。

 核実験や事実上の長距離弾道ミサイル発射を相次いで強行した北朝鮮については、共同して対応すべき問題として「断固たる対応の必要性」で一致した。

 南シナ海情勢で杉山氏は、中国による人工島造成や拠点構築、軍事的目的の利用など一方的に現状を変更し、緊張を高める行為は国際社会共通の懸念であると伝えた。

 日中関係をめぐっては、「全体として改善の方向にある」との認識は双方にあるものの、1月6日に北朝鮮が核実験を実施して以降、中国の王毅外相は岸田文雄外相の電話会談の要請に応じてこなかったことから、日本側には不満がくすぶっている。孔氏は協議後、記者団に対し「(両国は)信頼関係を築く必要がある」とコメントした。

会員限定記事会員サービス詳細