秘録金正日(64)

発覚した「太っちょグマ」こと金正男暗殺計画 高英姫は「事故」で重体 後継者めぐる暗闘の行方は…

 10種類のパスポートを使い分け、世界中を自由に飛び回っていた正男が突然、拘束された裏には、英姫と周辺勢力の画策があったというのだ。正男の行動経路をCIAにひそかに流し、日本側に情報が渡ったのが真相だとみられている。

「オモニは最高司令官同志に限りなく忠実」

 「威勢のよい金正男にやられまいと、91年ごろから姉は、金正日書記(当時)の絶大な信頼を得ている金容淳(ヨンスン)を味方につけた」と高英淑は説明する。

 高英姫は、自分が産んだ子供が後継者レースで、金正男に打ち勝つため、まず、国際担当党書記だった金容淳にプレゼント攻勢を仕掛けた。幹部人事を仕切る党組織指導部第1副部長の李済剛(リ・ジェガン)や、軍「制服組トップ」の総参謀長、金永春(ヨンチュン)らの支持取りつけにも成功する。

 世界中に醜態をさらした正男拘束事件を契機に高英姫派による後継者擁立の動きは加速する。

 《尊敬するオモニ(母)は、敬愛する最高司令官同志(正日)に限りなく忠実な忠臣中の忠臣だ》。2002年夏には、こう題した講演資料が軍内で印刷され、出回った。「オモニ」は英姫を指した。韓国の情報当局は、次男の金正哲を後継者に擁立する動きだと受け止めた。

会員限定記事会員サービス詳細