書評

温泉エッセイスト・山崎まゆみが読む『ひとりじゃないから、大丈夫。』(織田友理子著)

 「私は『段差と幅と人の壁』がなかったとしたら、何ら障害を感じることはありません」と彼女は記す。

 予算や制度が整えばハード面のバリアフリーは実現できる。人々の心のバリアフリー化が課題だという。「ハードとハート、両方のバリアフリー化を進めるため貢献したい」という彼女の考えに深く共感する。

 織田さんとのご縁は、私がバリアフリー温泉のガイドブックを出版した際に「温泉はあきらめていました」とご連絡を頂いたことに始まる。積極的にどんどん旅に出る彼女をモデルに、たくさんの人が街に出て、旅を楽しんでほしいと思う。4月には障害者差別解消法が施行される。心のバリアフリーはますます重要な課題となるだろう。(鳳書院・1200円+税)

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