人々の心をバリアフリーに
「4・5センチ-皆さん、手でつくってみてください」
著者の織田友理子さんが講演でよく使うフレーズだ。足腰に不自由のない者にはわからないけれど、車椅子の彼女が1人では越えられない段差の高さなのだという。
織田さんは、進行性の筋疾患である「遠位型ミオパチー」という難病を抱えている。手足の筋肉から萎縮がはじまり、徐々に歩行が困難になる。「少し前までできていたことが、気が付くとできなくなっている」と病状を記しながらも、本書には織田さんの活発な社会活動が紹介されている。
平成26年に国内外の車椅子バリアフリー情報を発信する動画サイト「車椅子ウォーカー」を開設。また世界中の車椅子ユーザーが訪問した場所のバリアフリー情報をマップ化する「みんなでつくるバリアフリーマップ」にも取り組む。これは27年にグーグルインパクトチャレンジ賞のグランプリを受賞した。
メーカーと協議し、デザイン性、機能性に優れた車椅子開発にも尽力している。
これらは「出会った人全てを味方につける」(ご主人談)という織田さんの魅力的な人間性のたまものであり、ご主人やご両親の支えがあってこそ。豊富に収録された写真からは、その家族の絆の強さが伝わってくる。