昨年12月の米カリフォルニア州での銃乱射テロの容疑者が使っていたiPhone(アイフォーン)にかけられたロック機能の解除をめぐる、情報通信大手アップルと連邦捜査局(FBI)との対立が波紋を広げている。司法省は19日、アップルにロックの即時解除を強制するよう求める申し立てを同州連邦地裁に起こした。ただ、IT業界などではアップルに理解を示す声も目立ち、プライバシーと治安維持のバランスをめぐる議論は続きそうだ。(ワシントン 小雲規生)
FBIは犯行の背景や協力者を明らかにするため、アイフォーンのロック機能を解除して保存データを入手しようとしている。カリフォルニア州連邦地裁もアップルにFBIへの協力を命じたが、アップルは16日、「すべてのアイフォーンのロック解除につながる」として協力を拒否する声明を発表した。
しかしオバマ政権にとってテロ防止は最重要課題のひとつだ。アーネスト大統領報道官は17日の記者会見で、「FBIは今回のテロ犯のアイフォーンについてのみ協力を求めている」と説明し、アップルの対応に不満を表明。司法省は19日、アップルの対応は「ブランド戦略に基づく判断だ」と切り捨てた。