福岡市立こども病院 専門医が診る

溶連菌 油断大敵、重い合併症も

 □総合診療科科長・古野憲司医師

 インフルエンザが猛威をふるっていますが、この時期に同じように患者が増えるのが「溶連(ようれん)菌」による感染症です。患者数は例年より多いペースで推移しています。

 のどの痛みや発熱といった症状ですので、インフルエンザや風邪と区別することが難しく、見落とされがちです。しかし油断大敵です。溶連菌は、のどの奥に膿がたまったり、重症化することもあります。また、時には腎臓に炎症を起こすこともあるんです。

 インフルエンザとの違いは、のど内部の色をみるとよく分かります。淡いピンク色になってはれるインフルエンザに対し、溶連菌は炎が燃えるような赤みが出ます。医療機関は、扁桃(へんとう)やリンパ節がはれたり、手や足に発疹ができたりすると、溶連菌を疑います。

 特に3歳から小学生に多いといわれます。せきやくしゃみなどによる感染ですので、幼稚園や小学校で流行する場合もあります。風邪と間違えやすいことから、のどの痛みを我慢しているうちに、他人にうつすこともありますね。

 治療は主に抗生物質を飲むことです。1日飲めば、他人に感染しないレベルまで菌は減るといわれています。とはいえ、症状が治まっても、菌を退治するまで飲み続けないといけません。重い合併症を引き起こさないためです。目安として10日間飲み続けることが必要といわれます。

 溶連菌という名称は「溶血性連鎖球菌」からきています。細菌を培養して検査するときに、動物の血液が入った培地で増やすのですが、顕微鏡でみると特徴的な球形を示すためです。

 冬は乾燥しているためにのどを守る防御機能が弱くなり、細菌やウイルスが体の中に入りやすい。このため感染症への注意が最も必要な季節です。春が近づくと気温の変化が激しく、体調を崩しがちになります。

 溶連菌は強い菌ではありませんので、早期に対応すれば症状はすぐ治まります。ただ、あなどれない菌ですので、専門医の判断が大切です。気になる症状が出たら病院で受診してください。

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 福岡市立こども病院の専門医が、子供に関わる病気・症状を解説する。

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 九州医療センター、九州大学病院、九州大生体防御医学研究所、福岡東医療センターなどを経て、平成24年に福岡市立こども病院・感染症センター(小児感染症科)着任、今年5月から同病院総合診療科科長。救急部門を中心に、小児時期に発症する疾患や病状に幅広く対応している。

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