異能の人・みうらじゅんに聞く

「完全に自分をなくすと、すごく爽快」「ブームはいつも誤解から生まれる…」

 世の中の男なんて、童貞時代の好き嫌いが大部分を左右してる。みんな若い頃にきめたルールに従って生きてるから。「俺、巨乳好きだ」と言ってた人が、年をとって改めて考えると「そうでもなかった」っていう…。ルールって変わっていくんだよね。

 「ない仕事」は仏教のいうところの「空」。「ない仕事」はあるかもしれないし、ないかもしれない。あるように見えている仕事-つまり本業には、実は「定年」なんてない。生きることだけじゃねえの、本業はって、僕は思ってる。

 〈年寄りくさい趣味と見なされがちな仏像めぐりを、若い世代に引き寄せた『見仏記』の刊行から二十数年。みうらじゅんさんといとうせいこうさんが仏像を見てまわり、いとうさんが文章を、みうらじゅんさんがイラストを担当する人気シリーズで、特にシリーズ1作目の文庫本は現在36刷と、世代を超えて読み継がれている。2人の独特な見仏の流儀に、最初は「仏を冒涜している」と批判も多かったそうだが、近年はガラッと風向きが変わったらしい。そのキーパーソンが「次世住(じせじゅう)」という〉

 欧米人って古美術の仏像をリビングに置いたりするでしょ。でも日本では「仏は見るものではなく、拝むものだ。冒涜だ!」と非難されてしまう。でも「いいじゃん!」と僕らは約20年前、『見仏記』で書いた。すごい怒られたけど。

 小学4年生の頃から仏像が好きだった。古美術好きな祖父に連れられ、地元・京都のお寺で巨大な仏像を見上げて、単純に「怪獣みたいにかっこええやん!」と思ったのがきっかけ。だから見仏記では、仏像を素直に「かっこいい」「色っぽい」と言い切ることにしました。

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