【鹿間孝一のなにわ逍遙】アニキの「覚悟」で阪神優勝だ(1/3ページ) - 産経ニュース

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鹿間孝一のなにわ逍遙

アニキの「覚悟」で阪神優勝だ

 「球春」である。阪神タイガースのファンは、この時期が一年で一番、心躍る。

 キャンプ地からの便りに耳を澄ませ、今年は優勝間違いなしと思う。期待するのではない、確信するのである。

 明大からドラフト1位で入団したルーキーの高山俊外野手の評判がいい。新人王はもう確定だ。エースの藤浪晋太郎投手は20勝するだろう。復帰した藤川球児投手も火の玉ストレートで白星を重ねる。

 星勘定をすると…ムフフッと頬がゆるんでしまう。

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 振り返ると、2003(平成15)年に似ている。この年、金本知憲選手がフリーエージェントの権利を行使して広島カープからやって来た。

 待望の4番打者で打線の核ができて、サンケイスポーツはキャンプが始まると特別版「阪神V内定号」を発行した。そして開幕前には「阪神V目前号」を出した。

 結果は18年ぶりのセ・リーグ優勝である。しかも、開幕から快進撃で、7月8日に史上最速の優勝マジックが点灯するというぶっちぎりだった。

 この優勝はプロ野球界に革命をもたらした。関西以外の阪神ファンがぞろぞろ名乗りを上げたのである。

 甲子園球場が満員になるのは当然だが、東京では神宮球場が「東の甲子園」として黄色く染まった。他の球場でも阪神戦の観客数が急増し、しかもホームのチームより阪神ファンが多かった。

 それまでプロ野球=巨人とされてきたが、盟主が交代したのだ。

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 関西のファンも、あまりの強さに落ち着かない気分になった。

 「もうまぶしいです。この世のものとも思われん」と言ったのは、優勝を目前に「『あと一球!』の精神史」を出版した国際日本文化研究センター (日文研)教授の井上章一さんである。

 人は慣れない幸せに恵まれると、不安にかられる。逆に幸せ慣れした人は、突然の不幸に落ち込む。内科医の石蔵文信さんは、前者を「阪神性不安」、後者を「巨人性うつ」と名付けた。