産経抄

なぜ殺されたのか 川崎・老人ホーム転落死 2月17日

 アメリカ西海岸のサンディエゴ市郊外で、めった刺しにされた死体が見つかった。本ばかり読んでいる、人の恨みを買うはずのない女性が、なぜ殺されたのか。

 ▼全員70歳を超えた老婦人が、探偵団を結成する(『老人たちの生活と推理』創元推理文庫、コリン・ホルト・ソーヤー著)。老人ホーム「海の上のカムデン」を舞台にした、ユーモアミステリーのシリーズ第1弾である。彼女たちは、警察官の制止を振り切って、無謀な捜査を続けた結果、意外な犯人にたどり着く。

 ▼川崎市の介護付き有料老人ホームで平成26年、入所者3人が転落死した事件で、施設の元職員が、神奈川県警に逮捕された。「意外な犯人」とはいえない。3件は、すべて容疑者が夜勤に就いていた日に発生している。ただ、犯行の動機がさっぱりわからない。

 ▼事件をきっかけに、同じ施設での別の職員による虐待事件も発覚した。被害者の家族が仕掛けたビデオは、ひどい暴力を加える職員の姿をとらえていた。系列の施設でも、不可解な事故が相次いでいることがわかっている。

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