浪速風

負けて騒がれる

不世出の名横綱、双葉山の69連勝はいまだ破られぬ大記録である。昭和14(1939)年の1月場所4日目、ついに土をつけた安芸ノ海が出羽海親方にあいさつに行くと、師匠はニコリともせずこう言ったという。「勝って騒がれる力士より、負けて騒がれる力士になれよ」

▶高梨沙羅選手は19歳にしてすでにその域に達したのだろうか。今シーズンのW杯ジャンプ女子で14戦して優勝11回である。その中には前人未到の10連勝もあるのに、1年ぶりに表彰台を逃して騒がれる。2年前のソチ冬季五輪を思い出す。金メダル確実と言われながら、4位に終わった。

▶頂点を極めるより、その座を維持する方が難しい。スポーツに限らず勝負の世界でよく言われるが、常人には及びもつかない。男子では43歳のレジェンド、葛西紀明選手が最年長表彰台記録を更新し続けている。2年後の平昌(ピョンチャン)五輪では2人に、さらに盤石の強さで金メダルを、そして新たな伝説を、と期待したい。