柏市議選でポスター代金水増し疑惑 元候補が印刷会社を告発

 昨年8月の柏市議選で、同市の印刷会社が選挙ポスター代金を水増しして市に請求した疑惑が浮上している問題で、立候補時にポスター作成を依頼した元候補者の今野正隆氏(63)が15日、詐欺罪で同社の告発状を県警に提出した。県警は告発状を受理し、立件の可否を含めて慎重に捜査を進める。

 告発状によると、同社は今野氏のポスター作成費を水増しして市に請求し、現金をだまし取ろうと計画。事前の見積もり額15万8760円の4倍を超える契約金額68万400円と記載した作成契約書を今野氏に交付して市選管に提出させ、同9月に市からポスター作成代金の公費負担分の限度額55万8360円をだまし取ったとしている。

 同社は産経新聞の取材に対し、「この件についてはコメントできない」としている。これまでの取材には「水増し請求した事実はない。見積価格からの増額は、相談料などが想定以上にかかったためだ」などと説明していた。

 また、同市議選では、他の立候補者の多くがポスターの公費負担分として約35万~55万円を市に請求していることから、今野氏は「他の立候補者についても水増し請求された可能性がある」として、住民監査請求を行う意向を示している。

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 ■告発の今野氏「制度改めるきっかけに」

 「『柏市の無駄を省く』と訴えて出馬したのに、こうしたことが平然と行われていて愕然(がくぜん)とした。これ以上、犯罪の片棒を担がされるのは嫌だ」。詐欺罪で印刷会社を刑事告発した今野正隆氏は15日、産経新聞の取材に対し、告発に踏み切った心情を明かした。

 今野氏は網膜色素変性症で約5年半前に全盲になった。視覚障害者の生活向上に取り組もうと、昨年の市議選への出馬を決意。選挙ポスターを作成する際、知人を通じて紹介されたのが同社だった。

 ポスター作成に当たり、同社から事前に示された見積額は15万8760円。しかし、契約額は4倍以上の68万400円に膨れ上がっていた。同社から明確な説明はなかったが、同社を紹介した知人からは「金額は(同社で契約している)他の候補者に合わせてもらうけどいいか」と告げられた。

 疑問を感じながらも、「書類を期限までに提出しなくてはいけない」と考え、落選後の昨年9月に契約書を市選管に提出。これにより、市から同社に公費負担分の限度額55万8360円が支払われた。

 契約額と限度額の差額約12万円が未納になっていると思って同10月に確認すると、支払っていないにもかかわらず、同社は差額分の請求書と領収書をその場で同時に渡してきた。担当者は「もともと15万8760円の実際額とは違うので、相殺してもマイナスにならない」と説明したという。

 今野氏は「こんなこと(水増し)が常態化していてはいけない。ポスター作成の公費負担分の金額も適正かどうか、制度の見直しを訴えていきたい」と説明する。疑惑が事実であれば、自身も契約書を提出したことで詐欺行為の一端を担ったことになり、今後の捜査次第では同罪に問われる可能性がある。

 今野氏は「県警に告発の相談をした際にも、摘発される可能性を刑事に厳しい口調で指摘された」と明かし、「覚悟の上だ。制度を改めるきっかけになればいいと思う」と話した。

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