天文学に新たな道を開く重力波の初検出。大発見の背景と今後の展望を探る。
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「重力波を検出した。われわれはやった」
研究チームを率いる米フロリダ大のライツィー教授は会見でこう話し、笑顔で両手を広げた。会場から一斉に歓声と拍手がわき起こる。アインシュタインが100年前に示した予言を、米国が実証した勝利宣言の瞬間だった。
「ガリレイは400年前、望遠鏡を空に向け現代の観測天文学を開いた。それと同じくらい重要な成果だ」。ライツィー氏は誇らしげに意義を説明した。
中継映像を見ていた大阪市立大の神田展行教授は「すごいことだ。重力波のみならず、ブラックホールを人類が初めて直接観測した大快挙で、ものすごく感動している」と語った。
日本の研究者は歴史的な偉業に賛辞を惜しまない。だが胸中には、無念さもあるはずだ。東大宇宙線研究所が岐阜県に建設した大型装置「かぐら」が来月に観測を開始する矢先の出来事だったからだ。