石井さんは関東で大学生活を送っていたころ、引きこもりがちだったという。そんなとき、「誰かとつながらなければ」と思い立ち、ネットを通じて知り合ったのが、今も一緒に暮らす男性だ。
ネットでの交流を通じて意気投合した男性に誘われ、石井さんは思い切って縁もゆかりもない田辺市に来た。「ニートだから失うものがない。だからここに来ることができた」という。
「こんな生き方」発信も
若者たちは、今では住人から「ここを乗っ取ってほしい」といわれているそうだ。石井さんも「農業など色々なことを手伝いながらノウハウを学び、いずれは自力で生活できるようになりたい」と話す。
それでも、「ニートって恵まれている。そのことを自覚して、楽しまなければもったいないと思う」と、楽しみを最優先する考え方は変わらない。
「うまくいけば社会貢献にもなるかもしれない。こういう新しい働き方もニートならではでは」「『年を取ったらどうするの?』とよく聞かれるが、ここの住人はほとんど高齢者。住人を見てたら生活できているし、『何とかなるだろう』と思います」。そう言って笑う。
楽観的なようだが、先を考えていないわけではない。「今後、ニートは増えると思う。そんな人にこんな生き方もあると提示できるのでは」ともいう。