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植物繊維をほぐしてできるナノサイズの新素材「セルロースナノファイバー(CNF)」の実用化に向けた動きが加速している。木材などを綿のようになるまで分解(解繊)すると現れてくる微細な繊維で、物性をナノレベルで改良できる。2014年のアベノミクス政策「日本再興戦略」でも、産業創出に加え林業を活性化する波及効果が見込めるとされ、利用推進が盛り込まれた。1月末に東京ビッグサイト(東京・有明)で開かれたナノテクノロジーの展示会「ナノテック2016」で、CNFをとりまく熱気に触れた。(原田成樹)
CNFの基本単位は、セルロース分子「(C6H10O5)n」が30~50個でできた非常に強固な微細繊維。直径3~4ナノメートル、長さ数マイクロメートルで、「ミクロフィブリル」や「シングルCNF」と呼ばれる。
これを水に分散させて乾燥させると、紙の10倍の引っ張り強度を持つ透明なシートができ、電子基板材料などへの応用も期待されている。酸素を通さないため、バイオプラスチックと組み合わせて環境に優しい医薬用包装材としても期待されている。