【上海=河崎真澄】香港の公共放送、RTHK(電子版)は12日、中国共産党政権を批判する「禁書」を扱う香港の書店関係者の身柄が相次ぎ中国本土に移された問題で、英国外務省が、「正当な法的手続きなしに(英国籍の李波氏らが)本人の意思に反して中国本土に移送されたことは、中英共同声明の重大違反で『一国二制度』の原則にも反する」との報告書をまとめたと報じた。
共同声明は香港返還の基本原則を定めた1984年に出された。今回の報告書は中国当局に対し正式に通知するものとみられる。
一方、香港政府も同日、英国の報告書を事実上、追認する声明を発表した。
英政府が香港政府と共同歩調をとることになれば、今回の事件は今後、中国当局の動きをめぐる重大な外交問題に発展する懸念がある。
事件では行方不明となった李氏ら書店関係者5人全員が中国本土にいることが明らかになっている。中国当局はこのうち4人の拘束を認め、李氏も「当局の捜査に協力している」との書簡を香港政府に示した。