iRONNA発

大阪制作だからおもしろい! 「あさが来た」にNHKの意地を見た 影山貴彦(同志社女子大学情報メディア学科教授)

 NHKのように大阪からドラマを全国に発信することが民放にも出来るのか。私は民放に頑張ってほしいと思っていますが、ドラマにはものすごくお金がかかるんです。民放のローカル局が頑張ってドラマを作っても安普請のセットになって、視聴者も「安っ!」と10秒で気づいてしまうでしょう。キー局とタッグを組む形じゃないと制作費も集まるものも集まらなくなります。頑張るだけでは限界があるんです。だから民放各キー局の編成、営業に言いたいのは、大阪、名古屋、福岡、札幌など基幹局も入れて、年間通じてリレー方式でドラマを作ってほしいですね。テレビ、ドラマだけじゃなく地方の活性化にも繋がるし、なにより各局の制作能力を高める意味でもプログラムの中に整えてほしいと思います。先ほども言った通り、NHKは東京・大阪が朝ドラを同じ条件で制作しているわけですから、無関係ではないと思いますよ。キー局だけじゃ回らなくなってきているこのご時勢、既得権を手放したくないのはわかるけど、ネットワーク局を盛り上げていってほしいですね。

 私も昔ドラマADとして昼の帯ドラマを担当したことがありましたが、帯ドラマはドラマの中でも一番しんどいと思います。出演者が会見でよく「帯ドラマ大変でした、こんなに大変だったことはなかったです」などと言いますが、本当に大変なんです。担当もせず批評ばかりしている作り手にどれだけしんどいか、いっぺんやってみろと言いたいぐらい(笑)。また視聴率でも『あまちゃん』以降一段とハードルが上がって、20%超えの期待というプレッシャーがかかる状況もあると思います。でもフジテレビ系・東海テレビの昼ドラも3月に幕を下ろすわけですから、帯ドラマはNHKしかなくなるわけで、看板を守っていってほしいし、厳しい状況で結果を出し続けていることは凄いことだと思います。(聞き手、iRONNA編集部・松田穣)

かげやま・たかひこ 同志社女子大学情報メディア学科教授。1962年、岡山市生まれ。早大政治経済学部卒。毎日放送プロデューサーを経て現職。専門はメディアエンターテインメント論。そのほかに上方漫才大賞審査員、コンフィデンスアワード・ドラマ賞審査員、日本笑い学会理事なども務める。主な著書に「テレビのゆくえ」(世界思想社)「影山教授の教え子が泣きにくる。」(雇用開発センター)など多数。

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