赤の広場で

決して当たらない宝くじ

 日本では景気が悪くなると「せめて夢だけでも」と宝くじの売り上げが増えるという。ロシアも同様かと思ったが、調べるとどうも違うようだった。隣国フィンランドでは購入者が人口の4割もいるが、ロシアは1%にすぎず、そもそも人気がない。街中でも郵便局やキオスクで販売しているのを時折見かける程度だ。

 不人気の理由は宝くじへの強い不信感だという。ソ連崩壊後の混乱期、誰もが無秩序に宝くじを売れるようになった結果決して当たらないくじなどが蔓延(まんえん)した。一獲千金を夢見た多くの庶民がだまされ、今では宝くじ自体が信用されなくなったのだという。

 最近も米国で1千億円超の当たりが出た際には、大衆紙はその記事と合わせて、ロシアで過去に大当たりした後、酒におぼれて貧乏暮らしに戻った男性の顛末(てんまつ)を紹介していた。ねたみもあるのだろうが、当たってもろくなことがないと言わんばかりだった。

 ただ記者も郵便局で政府運営のスクラッチくじを買ってみたが、案外面白かった。くじは1枚25ルーブル(約40円)と安く、昔駄菓子店で遊んだコインゲームさながらの感覚なのだが、当せん金が倍増する仕掛けなどがあり思わず手に汗握ってしまった。郵便局に行くたびに買ってしまいそうで、ちょっと気をつけなければと思っている。(黒川信雄)

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