ただ、こうした政府の楽観的な目算に対し、韓国メディアの慎重姿勢は際立つ。元韓国観光学会長のキム・ギョンスク江陵原州大教授(観光経営学)は朝鮮日報の取材に対し、「従来のような安値の観光ツアーやショッピング主体のツアーではなく、外国人客が魅力を感じる観光商品を開発し、長期戦略を立てるべきだ」と指摘。「そうしなければ、韓国観光が奈落の底に転落しかねない」と警鐘さえ鳴らしている。
アリババは助け舟になるか?
この国の観光産業の危機をめぐっては、韓国メディアが再三にわたり根本的な問題が背景にあるとしてきた。「後進性を免れない慣行がさらに根本的な問題。安モノ・ぼったくり・不親切慣行は相変わらず」(朝鮮日報)などである。
韓国経済新聞はコラムで中国人観光客がSNSに残した書き込みを紹介。「ホテルだと思っていたが地方のモテルだった」「観光用の飲食店ではなく運転手用の食堂だった」…。まさしく、安モノ、ぼったくり、不親切慣行である。
中国人客を呼び込むためには、キム・ギョンスク氏が指摘するように、安値の観光ツアーやショッピング主体のツアーからの脱却が急がれる。
そんな中、中国の電子商取引(EC)最大手、アリババ(阿里巴巴)グループが助け舟を出した。朝鮮日報によれば、傘下のインターネット旅行会社、アリトリップ(阿里旅行)が、韓国旅行業界最大手のハナツアーと提携する形で中国人客に韓国の観光商品を販売するというのだ。