経営再建中のシャープの買収に向け、大阪市阿倍野区の本社を5日訪問した台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘会長。高橋興三社長らとの交渉は約8時間に及んだが、最終契約には至らなかった。郭会長は「優先交渉権についてサインした。29日に正式に契約を交わしたい」と表明。シャープを「液晶の世界ナンバーワンに戻したい」と復活への全面支援に意欲をみせた。
■「ハードル90%越えた」鴻海による買収メリットを強調
午前9時ごろシャープに入った郭会長が、本社前で待ち構えていた報道陣の前に姿をみせたのは、約8時間後の午後5時半すぎ。
やや疲れた表情で「本当は正式な契約を交わしたかったが、多くの法的なプロセスを踏まないといけないことがあり、きょうで完成することはできなかった」と残念そうに話した。
ただ、「ハードルは約90%乗り越えた」と、交渉が最終段階に入ったことを強調した。
報道陣にシャープの魅力を問われると、「シャープには最先端の液晶技術がある。若いエンジニアから私も学んでいかないといけない」と持ち上げてみせた。
買収に踏み切る理由については「液晶は、この2、3年で韓国サムスンが優勢で、シャープは液晶の投資力がしんどくなった。高い技術力に一日も早く投資し、世界ナンバーワンをもう一度取り戻したい」と語った。