大人よりも敏感
同園の西福江園長(86)は「子供たちは起きている時間のほとんどを保育園で過ごす。だからこそ、ここで正しい食事や生活の習慣を身につけてほしい」と語る。昭和43年の開園からまもなく、西園長はアレルギーやアトピー性皮膚炎の子供が目立つようになったことをきっかけに食を学び直し、「食の欧米化などの変化が影響しているのでは」と、和食の給食を提供するようになった。
現在でも肉、乳製品をほとんど使わず、おやつもおにぎりなどが中心。みそ汁に使われるみそは、子供たちが手作りする。同園の食育は全国的に知られ、現在では教育機関や行政など年間300件の視察がある。
「人の味覚は乳幼児期につくられる。子供の味覚は実は大人よりも敏感。この時期に、本物のだしや食材そのもののうまみを感じることが大切」と西園長。
現代は加齢によって味覚が衰える高齢者だけでなく、若い世代の味覚障害も増えているとされる。東京医科歯科大の研究チームが平成24年に埼玉県内の小中学生約350人を対象に行った調査では、酸味、甘み、苦み、塩味の4つの味覚のいずれかを正しく認識できない子供が約3割に上った。正しい味を認識できない子供は、野菜の摂取量が少なかったり、ファストフードや加工食品をよく食べたりといった傾向が見られたという。