「ポニョ」モデルの鞆の浦、埋め立て架橋計画の争い終結へ 広島県が免許取り下げ方針

護岸を整備する案が示された沿岸一帯=福山市鞆町
護岸を整備する案が示された沿岸一帯=福山市鞆町

 広島県が撤回した福山市鞆町の鞆港埋め立て架橋計画で、県は取得している埋め立て免許を取り下げる方針を固めた。計画の中止を求める住民との間で訴訟が続いている県は、15日に行われる訴訟の進行協議で原告側の訴え取り下げを前提とした申請撤回を報告する方針で、県と原告側の「同時取り下げ」となった場合、約9年に及ぶ争いが終結することになる。

 訴訟をめぐっては、これまで、広島高裁で進行協議が計16回開かれている。昨年5月の協議で裁判長から、県の埋め立て免許取り下げと原告の訴えの取り下げを同時に行い、裁判を終結させることが提案されていたが、県は架橋を望む住民に配慮して免許取り下げを控えていた。

 一方、湯崎英彦知事は1月の会見で、同時取り下げを前提とした埋め立て免許撤回の調整に入ることを表明。5月に行われる予定だった進行協議は、県が同時取り下げの意向を伝える方針を固めたことで、今月15日に前倒しされた。

 埋め立て免許の取得は、県と福山市が免許権者でもある県に対して平成19年に申請したが、計画に反対する一部住民が免許差し止め訴訟を起こした。20年には県が国へ許可申請したが、広島地裁が差し止めを命令。これに対し、県は広島高裁に控訴したものの、21年に初当選した湯崎知事が架橋計画の中止を表明。広島高裁での裁判は延期されてきた。

会員限定記事会員サービス詳細