後継者を何が何でも育てる 平成の名人、歌舞伎俳優・澤村田之助(83) (3/4ページ) - 産経ニュース

メインコンテンツ

後継者を何が何でも育てる 平成の名人、歌舞伎俳優・澤村田之助(83) 

 戦後は菊五郎劇団で、江戸の世話物を中心にさまざまな役どころで活躍する。

 そんな中、生涯の当たり役「神霊矢口渡(しんれいやぐちのわたし)」のお舟に出合う。祖父・七代目澤村宗十郎(1875~1949年)が制定した家の芸「高賀十種」の一つ。昭和39年4月、六代目田之助の襲名披露狂言で、当時は祖父以外、ほとんど演じられていなかったという。

 ひと目ぼれした男のため、父に殺されるお舟。田之助は、祖父の型(演出)を忠実に継承しながらも自分の工夫を加え、強い意志を持った情熱的なお舟を作り上げていった。

 「女形であんな良いお役はないですね。一幕中、活躍しますから」。田之助が演じて以来、この芝居はよく出るようになり、昨年11月の国立劇場(東京都千代田区)でも上演された。「(お舟役の)中村芝雀さんにやり方をお伝えしたんですよ」と目を細めた。