都市を生きる建築(54)

東京・丸ビル引き継ぐデザイン、旧財閥のレガシー…大阪農林会館

【都市を生きる建築(54)】東京・丸ビル引き継ぐデザイン、旧財閥のレガシー…大阪農林会館
【都市を生きる建築(54)】東京・丸ビル引き継ぐデザイン、旧財閥のレガシー…大阪農林会館
その他の写真を見る (1/2枚)

 心斎橋のほど近く、商業エリアとして賑わう南船場の街角に建つ大阪農林会館は、1930(昭和5)年に旧三菱商事の大阪支店として建設された。1918(大正7)年に三菱合資会社から分離独立した三菱商事は、設立当初から大阪に支店を置き、1922年に現在の地へ移転。当初は建築家・片岡安が設計した木造2階建ての洋館を使っていたという。

 現在のビルは、日本を代表する設計事務所のひとつ、三菱地所設計の源流である三菱合資地所部営繕課が設計した。内部に自前の設計部門を持っていた三菱財閥は、東京丸の内一帯のオフィス開発や、傘下のビルなどを手がけてきた。特に1923年に完成して東京駅前の名物となった丸の内ビル、通称「丸ビル」は、アメリカから導入した建設技術を使った当時最新の建築で、日本における近代的なオフィスビルの嚆矢(こうし)となった。装飾を控えた合理的な設計や、面積の大きなガラス窓などは、この大阪農林会館にも引き継がれているように思われる。