一筆多論

介護職の処遇改善に王道は 佐藤好美

 介護職不足が深刻だ。賃金が安い、離職率が高い、仕事がきつい、だから、人が足りない。処遇を改善すべきだ、と言われる。

 だが、介護現場からは「そう言われれば言われるほど、イメージが落ちる」「逆に、人が来なくなる」などの声も聞くのである。

 アプローチが違うのでは、と示唆するのは、在宅医療を行う悠翔会の佐々木淳医師である。多くの介護現場を見た経験から、佐々木さんは「介護職の離職率が高かったり、虐待が起きたりするのは、介護が孤独なルーチンワークになっているからでは」と言う。食事をさせ、おむつを替え、おやつを出し、入浴をさせ、またおむつを替え…。必要な介護でも、目的化すると「流れ作業」になる。孤独だと、仕事の意義を見失う。そんな問題意識から、シンポジウム「地域包括ケア時代に求められる医療と介護の役割」に、神奈川県の介護事業所「あおいけあ」の加藤忠相さんを登壇させた。

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