習近平主席の「バラマキ外交」に批判 財政悪化なのに「また税金が」「誰か外遊を止めて」

 【北京=矢板明夫】欧米や中東諸国を歴訪し、巨額の無償援助や融資を表明している中国の習近平主席に対し、中国国内から反発が出ている。国内では最近、株価低迷や景気減速で資金繰りに苦しむ企業が多く、給料がもらえない出稼ぎ労働者のデモも頻発。ネット上では「お金があるなら国内に回して」といった意見が多く寄せられている。

 習主席は1月中旬の中東訪問の際、エジプトの首都カイロのアラブ連盟本部で演説し、中東の産業育成に350億ドルを融資すると表明したほか、アラブ首長国連邦などとエネルギー投資とインフラ建設のため200億ドルの投資ファンドを設立することも約束した。

 また、無償援助としては、シリアなどの難民支援に約3500万ドル、パレスチナ問題解決に約800万ドルなど、中東諸国に総額6兆3千億円相当の経済支援を約束した。背景には、同地域での中国の影響力拡大を図りたい思惑があるが、中国国内では「またわれわれの税金をばらまいてきた」「だれか習主席の外遊を止めてくれ」といった書き込みがネットに殺到した。

 習近平政権は、東、南シナ海での外洋拡張や人権問題で欧米や日本と対立することが増える一方、発展途上国との関係を重視する外交を展開している。毛沢東時代と同様、アフリカや中南米などの国に支援することで国際社会における存在感を高める狙いがある。

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