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千年の歴史を誇るポーランドの都市、ヴロツワフは今年、EU(欧州連合)が指定する欧州文化首都に選ばれ、数多くの文化芸術事業が計画されている。中世の建築から前衛的なアートまで、多様な文化に彩られたこの街がこの1年、どのような魅力を放つのか。今月中旬、開幕イベントで盛り上がるヴロツワフを訪ねた。(藤井克郎)
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午後4時を過ぎると、早くも夜のとばりが降りてくる中、14世紀に建てられた旧市庁舎前の広場を目指して大勢の市民が歩を進めていた。決して政治的スローガンを叫んでいるわけではない。欧州各地から集まったアーティストらと一体となってパレードし、広場でのパフォーマンスに参加しようというのだ。その数およそ12万人。人口約63万人の市民の20%近くが、この晴れやかな欧州文化首都の開幕を飾る熱狂に酔いしれた。
「ポーランド人はそれほどお祭り好きな国民ではない。特に冬は寒さも厳しく外に出たいという季節ではないが、この週末には20万人もの市民がさまざまな開幕イベントに参加した。これだけ多くの人が集まったことが、私にとっては一番の喜びです」と、「欧州文化首都ヴロツワフ2016」の総合ディレクターを務めるクシシュトフ・マイさんは満足そうに語る。